地図で読むアメリカ

  • 朝日新聞出版 (2020年4月20日発売)
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感想 : 14
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“アメリカ”というのはその広さや、国民の多様性の幅の広さから、一つの国として定まった顔を持たない。本書ではイースト川とハドソン川に挟まれた地域を“メトロポリタン・ニューヨーク地域”として取り上げているが、“メトロポリタン・ニューヨーク地域無しのアメリカは考えられないが、メトロポリタン・ニューヨークはアメリカの典型的な地域ではない”と語っているように、アメリカはその地域によって住む人種、産業、気候、人々の政治思想が大きく異なる。それを地図(その地域の置かれた場所や地形、そして隣接する地域との関係)を見ながら、10の地域に分けて語ろうというのが本書だ。
必ずしも州境はその区域を分ける目安にはならない。むしろ10の地域の分かれ目は州の上を通っており、州自体が複数の地域に分かれていることも多い。なぜなら州の中に大きな山脈や河川を抱えており、そのどちら側に位置するかによって気候が変わり、暮らしの基盤が大きく異なるからだ。
一部、その地域の歴史にも触れているが、それはその地域の現在を語るためであり、歴史よりもその地域が今どういう状況なのか?にフォーカスしているので、現在のアメリカの状況においてその地域がどういう立ち位置にあるか?を知るには良い参考書になるのではないだろうか?
何よりもこの本を読んで、「アメリカは、、、」とか、「アメリカ人は、、、」と言う表現を見た時に、そのアメリカがどこを指して言っているのかを推測する必要があり、その表現がそれをアメリカ全土に広げて語ろうとした時には“要注意”ではないかと感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション(海外)
感想投稿日 : 2021年2月22日
読了日 : 2021年2月28日
本棚登録日 : 2021年2月21日

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