Pilote De Guerre (Folio)

  • Educa Books (1972年4月15日発売)
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感想 : 2
3

邦題『戦う操縦士』
全てが守られていて、柔らかで淡く優しい情念を湧き起こす学生(collège)時代の記憶から始まって、その卒業後に同級生はおのおの自分の人生を歩み出す。この冒頭のノスタルジーにすごく共感して、繰り返し読んでしまった。ノスタルジックに始まって、しかしすぐにぐいっと戦争に取り込まれる。課せられたミッションの記録と彼の回想や内省(とたまに皮肉っぽいユーモア)が交互に織り交ぜられた、哲学的な一冊。

前半はかなり引き込まれたけど、後半少しだれてしまった。背負っている時代背景の違いがある限界を感じた。(その点「星の王子さま」はファンタジックにまとめられているので、解釈の余地が広く著者の代表作たらしめている所以だと思った)

そのほか雑感
・第二次世界大戦について日本はなぜ無謀な戦争に挑んでしまったのか、という反省的な論調の本を読んだことがあるけど、戦争というのは戦勝国であっても無謀に映るものなんだなと思った。(実際フランスは一度降伏してるわけだけど…)
・戦争において人が駒のように扱われることへの違和感は、仕事にも言えることのようで、ハッとした。
・本書は元々アメリカに参戦を呼びかける動機で書かれたものらしく、戦いに身を投じる覚悟が後半書かれているんだけど、そこに感情移入するよりは戦争がもう起きませんようにと祈ってしまった。でも例えば私が今ミャンマー人として生きていたならば、やっぱり戦う必要があるのだろうか…
・仏語の難易度としては思いの外読みやすかった、ただし戦闘シーンの戦争用語は辞書なしではきつかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2022年1月30日
読了日 : 2022年1月30日
本棚登録日 : 2021年12月17日

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