篠田真貴子さんのファンだからという軽い気持ちで手に取ったのですが、最近読んだ本の中でも特に感銘を受けました。
本書は、終身雇用が事実上なくなった今、会社と個人の関係性をどう構築し直すかを提案しています。終身雇用のメリットは長期的視野を促すことができる点でした。終身雇用が崩壊した今でも、長期的視野を残すためには、ある程度の忠誠心が必要。それを、「会社と個人のフラットで互恵的な信頼関係」を通して担保しようと提案しています。
ポイント
・信頼関係の基本は隠し事のない誠実さ。「会社をいつか去るかもしれない」という前提をオープンにした上で、数年単位で会社と社員の目指す方向を合意すれば、双方とも信頼をベースに安心して時間と労力を投資し合える。
・特定のミッションを完遂することを目的とした変革型コミットメント期間の社員の存在は、会社に適応力をもたらす。
ネットワーク情報収集力、卒業生ネットワークの章も面白く拝読しました。
感想
「上司部下の間で信頼関係が損なわれていくのは、双方期待値を明確に開示しないことが根本にあり、期待から外れたときに勝手に失望していくからではないか」という個人的に抱いていた課題意識に対して一つの解を示してくれる本で、夢中になって読みました。「信頼関係とは何か」について、もっと深掘りしたくなりました。
また、old economy的な発想のまま、社員に紋切り型に一年単位の評価を下していく方法は、現在の事業環境に即していないのでは、という課題意識に対しても示唆がありました。規模拡大役のローテーション型社員、適応力役の変革型社員、継続性役の基盤型社員の望ましい割合、うちの会社だとどう?が解かないといけないイシューだと思いました。
この本はlinkedinの働き方を主なベースに論じられていますが、今の時代背景を前提に働き方を一からデザインしているシリコンバレーの企業から学ぶことは多いと思いました。今「よくわからないけど人事制度が軋んでいるかも」というold economyな会社の人が読むと示唆深いと思います。
- 感想投稿日 : 2020年8月9日
- 読了日 : 2020年8月9日
- 本棚登録日 : 2020年8月9日
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