同じオレンジ文庫で法廷ものを書いている永瀬先生の作品ということで、和風ながらも交渉術、謎解きなどの要素が濃くてたまりませんでした。
それを行っているのがまだ数えで十二歳という幼女(少女と呼ぶべき年齢でしょうが、ここは敢えて幼女と呼びたい)
何せ旦那は口下手の朴念仁。
女心がまるで分っていない上に、鬼たちとすらうまく渡り合えていないという有様。
そりゃ嫁もたくましくなりますわ。
和風の雰囲気も大変好みでしたが、それ以上に上記の通り交渉術・話術で危機を乗り越えるところ、最終的には鬼対人間の戦を詭弁で丸め込んでしまうところが面白くて面白くて。
キーアイテムになる「鬼喰」は何処にあるのか、その謎解き・謎かけもしびれるほど面白かったです。
和風でこういう話を書いてくるのは、流石永瀬先生……!
恋のライバルが実は……なところ。
当初から怪しいと思っていた人が実は……なところ。
悪役の転落っぷりも相まって、どんでん返しや意外性も楽しい作品です。
特に「あの人」の話は最後の最後で背筋が凍りました。
そう、当初から怪しかったんだ。
でもそこまでの狂気までは想像していなかったんだ。
恋する人はこんなにもたくましく、そして……恐ろしいものなのですね。
シリアスの中、キャラクターたちには適度にコメディ要素が入っていたのもよかったです。
コメディというか、可愛い部分があるというか。
あの青鬼ですらご覧の有様でしたし(詳細は割愛)
その辺のメリハリもよかったです。
たくさんの魅力に溢れた作品です。
一度で様々な要素が楽しめる贅沢、堪能させていただきました。
満足!
- 感想投稿日 : 2020年2月29日
- 読了日 : 2020年2月28日
- 本棚登録日 : 2020年2月28日
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