皇妃エリザベートのしくじり人生やりなおし (二見サラ文庫 え 1-2)

  • 二見書房 (2020年1月14日発売)
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本棚登録 : 135
感想 : 17
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少し前にルートヴィヒ二世とエリザベートの悲劇のエピソードを読んだばかりだったこともあり、色々感慨深いものがありました。
まさかあの狂王の運命まで変わるとは。
(この物語のヒーローは狂王の彼ではないのですが、個人的に肩入れしがちなキャラではあった)
こんなハプスブルク家やバイエルン王国が見てみたかったと夢見ることができました。
シシィ、頑張ったね。
Web小説で割と流行っている印象の人生やり直し話ですが、実在の歴史的人物というのは珍しかった気がします。
歴史のif物語を、恋愛要素増し増しで読めるのは歴史好き女子にはたまらない物語でした。
一回目の人生でのしくじりを覚えているから、陛下の素直な愛情にも肯けないシシィ。
未来が分かっていても悲劇が回避できていない点も、彼女の恋心にブレーキを掛けてしまう。
思い合っているのに結ばれない展開、胸が痛みました。
彼の好意を拒み続けることが幸せな未来へ、悲劇の回避へ繋がるのか。
ギリギリまでハラハラさせられました。
ポイントは、素直に全てを打ち明けること、だったように思います。
シシィが何故求婚を拒否し続けていたのか、その訳を、一回目の人生のことを陛下に打ち明けた時、未来の歯車が噛み合った気がしました。
一回目の悲劇の人生ではなく、二回目のまだ見ぬ新しい未来への道が拓けたと言うか。
二人がちゃんと向き合うべき方向を向けたと言うか。
もう回避できない悲劇はなくなったと予感させたと言うか。
本当に互いを理解できた今なら、きっと大丈夫だろうなと。
実際、そんな人生を送ってくれたようなので、本当に本当によかったと心からお祝いできました。
こんなハプスブルク家が見たかった(二回目)
陛下の不器用だけど一途な想いがようやく報われたのも感無量でしたし。
長かった……!
実に長かった!!
史実とは違う歴史を歩み出した二回目の彼らの世界が、今よりももっと平和であれと願わずにはいられません。
ハプスブルク家に栄光あれ!
追記。
江本先生らしく、今回もスウィーツの描写が非常に美味しそうでした。
シシィのために律儀にリサーチし買いに走る陛下も萌えポイントです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(作者名:あ行)
感想投稿日 : 2020年1月19日
読了日 : 2020年1月19日
本棚登録日 : 2020年1月19日

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