終戦の時期ということで、積読の中からチョイス。
終戦後の昭和天皇と国体護持をめぐる様々な動きが、明確な根拠とそれゆえのリアリティを持って書かれています。ここまでの文献とそれに対する考察が加えられているのはさすがの一言。敗戦を経ながらも、天皇制と政治体制がなぜ連続性を持って続いたのかがよくわかる本。
昭和天皇個人の戦争責任はもちろんのこと、それよりもさらにその先の国体護持のためにほとんどの人が統一的な行動をとっているのには感嘆。当たり前だけど、現代の皇室観からは全く理解できるものではない。そして当時の天皇観と、それに対して天皇の生々しい人間的な言動が明らかにされている。そして米国の思惑とその他世界の思惑。様々な思惑が工作し過ぎていて、当時の交渉で中心的になっていた人々がいかに優秀だったのかを感じる。しかしその人々ですら、日中戦争に対する戦争責任の概念が欠けていたというのは印象的だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
新書、教養
- 感想投稿日 : 2020年8月16日
- 読了日 : 2020年8月15日
- 本棚登録日 : 2020年2月2日
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