電池が切れるまで 子ども病院からのメッセージ (角川文庫 す 15-1)

  • KADOKAWA (2006年6月24日発売)
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感想 : 22
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こども病院、と言っても、年齢は幅広い。四歳の子もいれば、高校生の子もいる。読んでいるうちに、同じ名前が何度か出てくることに気づく。そして、同じ名前であっても、学年が違っていることもある。それだけ、彼らの入院生活が長いことを物語っている。

こういった本だから、きっと健気で前向きな言葉を集めたものだろうと思っていたが、読んでみると違っていた。病気と闘う不安、焦燥、苛立ち、自分のことをうまく伝えられないもどかしさ・・・色々な感情が見える。
しかし、そんな中でも彼らは自分を幸せだと言い、自分よりも長く闘病生活を送る級友たちを慮り、自分には病気が必要だったと神に感謝し、お互いを思いやる。ほんの小さな子どもまで。
病にあってもそれに押し潰されずに、むしろお互いに心を磨き、ひたむきに生きていく姿に、心打たれた。

後半は、そんな子どもたちを見守った家族やスタッフ、そして詩を書いた当時を振り返る成長した「子どもたち」の言葉がある。
この詩画を書いた子どもたちの中には、退院して成長した子もいれば、亡くなってしまった子もいる。家族やスタッフの言葉を読みながら、それぞれの「命」を想う。
あとがきの医師の言葉に、医療の原点を深く考えさせられた。

レビュー全文
http://preciousdays20xx.blog19.fc2.com/blog-entry-474.html

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: タ行
感想投稿日 : 2016年1月30日
本棚登録日 : 2016年1月30日

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