ライトニング (文春文庫 ク 5-1)

  • 文藝春秋 (1989年10月1日発売)
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本棚登録 : 175
感想 : 23

色褪せないSFの傑作と評価が高い作品だ。

運命に翻弄される少女を救いにどこからか現れる金髪の男。少女は彼を守護天使として心の支えに生きてきた。それは孤児院で出会った生涯の親友にも打ち明けることのないささやかな秘密だった。母を亡くし、優しい父も彼女を残して逝ってしまった。人生の危機に直面する度に現れるこの男は何者なのか。

やがて日々は過ぎ、美しく、文学界の若き才媛として花開いた彼女は良き伴侶と息子を得て人生の幸福を実感する毎日を送っていた。やがて来る運命の過酷さも知らずに。

主人公のローラがとにかく逞しい。
また謎めいた守護天使の男の正体が明らかになるにつれて人間らしい憂いと苦悩が肉付けされていく過程もよかった。主人公ローラの半生にあたる期間が描かれる長編だが、テンポがよく一気に読み進めることができた。
途中、タイムパラドックスの説明にページを割かれるが、SFのリアリティがなくとも人間ドラマとして十分楽しめた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2012年5月4日
読了日 : 2012年5月3日
本棚登録日 : 2012年3月14日

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