涙なしでは語れない本シリーズ。
セカンドライフが流行ると豪語して会社を立ち上げ、超大手企業からセカンドライフ内のシステム開発を請け負う様になった著者は、素直に素晴らしいと尊敬する。それも、年齢的にもまだ20代とものすごい若い。
素晴らしい活力と、営業力であったと思う。
しかし、彼のHPを見れば分かる通り、2007年でそのすべてが完結しており、その後の成果物が存在しない。
本書では、従業員を増やしてその大半を海外の人にする〜など、大志を抱いていた。
時代の流れを読むのは難しい。流行ると考えて切り込んで、うまく行かなかった例はゴマンとある。その中の一つだった。それだけだ。
現在、コミュニケーションデバイスとして仮想空間を利用することは、多くの専門家は否定的である。
アイフォンや携帯、パソコンなどマルチプラットフォームで共通化したクライアント端末から共通したシステムにアクセスして情報を共有できる、コミュニケーションツールが主流となり、なるべく簡便に、検索容易性が優れているものが好まれる。
セカンドライフのようなワールド系のシステムは、では流行らないのかというと、そうでもないと考える。
例えば、自由に建物を建設したり冒険したりするオープンワールド系のマインクラフト等は、とても優れたゲームだ。
セカンドライフの問題は、1サーバーに最大収容者数が50名前後であり、日本企業の多くの人達が考えたワールドシミュレーションで多くの人が交流するという意図は、そもそもシステム的な設計から不可能だったのだ。
この点、各大手企業に宣伝できると煽った人たちは戦犯であるだろう。
セカンドライフは、少数の友人コミュニティが遊べる空間であり、不特定多数の人間が1つのセグメントに集まり遊べるようなものではない。
- 感想投稿日 : 2012年9月9日
- 読了日 : 2012年9月9日
- 本棚登録日 : 2012年9月2日
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