羊の怒る時 ――関東大震災の三日間 (ちくま文庫 え-21-1)

著者 :
  • 筑摩書房 (2023年8月9日発売)
4.38
  • (7)
  • (4)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 142
感想 : 9
5

読中・読後、辛くて堪らなくなってしまった。だが、「過去を学ばぬものは未来に対しても目を閉ざしていることになる」から、心身のあたうかぎり、折に触れ読み返したいと思う。ーー本書は、関東大震災(1923.9.1)とその後の2日間を、直に目の当たりにした作家が、小説のかたちで表したものだ。その眼は、『どこから出たかもわからない』デマゴギーから、日本庶民が朝鮮の無辜の人びとをどう扱ったかを、震災の様子ともども明確にとどめている。いちばんのおそれは、石牟礼道子さんが末尾の解説で語っているが、『五十年百年経って、われわれが同じことをしない保証がない』ことだと思う。ーーきょうは、あとは茨木のり子の詩「あの人の棲む国」を読んでやすむ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年10月25日
読了日 : 2023年10月25日
本棚登録日 : 2023年6月28日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする