テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ (星海社新書)

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  • 星海社 (2014年9月26日発売)
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感想 : 9

とりあえず、途中までまとめ。
今までマンガが一つの確立された表現方法として研究されたことはなかったそうなので、この本は革新的な本だったのだろう。
タイトルがテヅカ・イズ・デッドである点からもわかるように、いかに手塚治虫が日本の戦後マンガに影響を与えたかということが明らかになった。
彼は登場人物に、普通ならば共存し得ないキャラクター性とキャラ性、どちらも持たせた。キャラクターとは「人格」を持った「身体」の表象である。つまり人間らしいということだ。よって、キャラクターを立てるという言葉は読者である私たちと同様に「身体(永遠ではない、傷つく心と死にゆく体を持っている)を持った人間」が、「物語空間の背後にも」「永続して存在する」ことを想像させることを意味する。そして、現実の出来事のようなもっともらしさを読者に与える。一方で、キャラとはキャラクターに先立って何か「存在感」「生命感」のようなものを感じさせるものとかんがえられる。こちらは作品世界そのものがあたかもあるかのような錯覚に陥らせる現前性をもつ。キャラクターが立つ、とは違い、キャラが立つとはテクストに編入されることなく、単独に環境の中にあっても、強烈に「存在感」をもつことを指す。ちなみに、キャラの強度が萌えを支えている。つまり、可愛らしいなあという強い愛着によってキャラが強くなるのだ。

読書状況:いま読んでる 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年2月10日
本棚登録日 : 2019年1月17日

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