AIによる分析で、(アメリカで)ベストセラーになる条件を多く備えた文学作品として、とある本で紹介されていた。
実際によく読まれたのかどうかはわからないが、映画化もされたので、まぁ話題にはなったのだと思う。
近未来、SNS上に個人情報をすべてさらけ出し、あらゆることをオープンにすることで社会はより善になり、この世から悪が一掃される、そう信じる人たちからなるアメリカ西海岸の某超有名IT企業を舞台にした、ちょっとしたディストピアな物語。
小説という形をとってはいるが、作者は社会活動家でもあるので、SNSコミュニティに対する問題提起なども含まれていて、いろいろ示唆に富んでいたと思う。
ただ、原著の出版は2013年、ここで述べられていることは、様々すでに実際に起こってもいるので、ちょっと読む時期を逸してしまったかなと。それだけ、本書は先見の明があったといえるわけだけど。
ベストセラーになりうる構造とはなんだろう。冴えない主人公が、思わぬ幸運で超人気IT企業に就職し、その社是に共感し次第に洗脳されていく様が、リアルにテンポよく捉えられている点、彼女の家族や元カレ、自分を見くびっていたの友かつ上司との関係の変化の捉え方の上手さ、といったところか。
日本ではどうだろう。SNS上で“いいね!”などの承認を得ることに一体なんの価値があるんだ?と日々感じている人には共感できるかもしれない。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年6月9日
- 読了日 : 2021年6月9日
- 本棚登録日 : 2021年6月9日
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