戦争と読書 水木しげる出征前手記 (角川新書)

制作 : 水木しげる  荒俣宏 
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年9月9日発売)
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本棚登録 : 191
感想 : 17
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昭和十七年、徴兵検査を受け、出兵を控えた武良茂(水木サンの本名)の苦悩。
武良茂はキリスト教や、仏教、ニーチェなどの哲学や宗教思想の本のなかに答えを求めた。死を意識した二十歳の青年の手記。

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荒俣宏さんの濃厚な時代解説のおかげで、戦前や戦時中の学生たちがどのように本を選び、どのように読み込んだかがわかった気がする。
日記を書く行為、天気を書き残す行為についての考察も大変興味深かった。

もちろん自分が二十歳のころは戦時中ではなかったから、ここまで死を意識することはなかった(まったくなかったわけではないけど)。
苦である現実を生きることは戦いで、休息を意味する死は幸福、そして戦っているうちに苦しみは幸福に変わる、なんて当時の自分は考えもしなかった。何かあるたびに悟ったような気分になっていたけれど、本当の悟りっていうのはこういう思想なんだと思う。

哲学も宗教もいいけど、もしかしたら答えは自然のなかにあるのかもしれない。ニーチェや水木サンが重視した自然学。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 水木しげる
感想投稿日 : 2021年7月26日
読了日 : 2021年7月25日
本棚登録日 : 2021年7月25日

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