会社ではネガティブな人を活かしなさい (集英社新書)

著者 :
  • 集英社 (2021年12月17日発売)
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感想 : 8
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今は青学の教授を務めておられる経済学者による、組織論についての大学の講義をまとめたもの。読んでいて、少し事例の羅列に近い印象を受けたのは講義録だったからか。。
とは言え、情報がテーマ毎に纏まっているのと、マインドフルネスやウェルビーイングといった最近のトピックにも触れられているので、サクッと情報を得るサプリメント的な本として有用だと感じました。
内容は「人の働かせ方」の本で、著者は「どのように従業員を幸せにすれば企業にとっても恩恵があるのか」という問いを立てて本著を纏め上げたそうです。

読了して思ったのは、このタイトルはちょっと誤解を生むのでは…ということ。
会社でよく「あの人はバックギア引くタイプ」という表現が使われてまして、要は変化に後ろ向きな人のことなんですが、「ネガティブな人」という言葉を見て私のアタマに浮かんだのはそのタイプの人。ただ、このタイプは本著における「ネガティブな人」では無く、「心配性」「楽観的ではない」くらいの人を指すようでした。
というコトで、本著「やる気がなくて批判ばかりして動かない人に上手く稼働してもらう本ではない」という大前提を理解した方が余計な期待を持たなくて済みます(笑

著者の問いへの答えは、「従業員を幸せにすれば組織に恩恵があるとは断言できない」というものだったようですが、様々な研究の中で得られた知見はそれなりに有用なものもありそうです。
部下のパフォーマンスを上げるために上司はどうすれば良いか?部下が創造的な仕事をする時は幸せそうな態度で、分析的な仕事をする時は悲しそうな態度で接すると良いんだそうで。
しかし、これを自然に実践するのは大変そうですね。部下の立場で「これから何の仕事するの?」って訊かれて返事したら急に上司の態度が悲しそうになったりしたら困惑しそうですが(笑

ちなみに脇道ですが、テレワークについて、2010年に上海で実施された在宅勤務の実験で、企業の生産性が20〜30%増加したとのことですが、「うち2/3はオフィススペースの縮小によってもたらされ」というのはなかなか切なさを感じました。
(まぁ、それ以外の生産性が上がっているだけで御の字なのかな…)

ボリューム感的に手ごろなので、興味があれば読んでみては良いのではと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2022年4月3日
読了日 : 2022年4月3日
本棚登録日 : 2022年3月29日

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