ネット生保会社の創業者…と言うよりも、旅と読書をこよなく愛する著者による、世界10都市を軸にした文明史。イスタンブールから始まり、デリー、カイロ、サマルカンド、北京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン、ローマと巡っていきます。
まず思ったのは、読書量が凄いということ。著者紹介には1万冊とあり、その教養が存分に反映されています。なお、「グローバル時代の必須教養」とは緊張感のあるフレーズですが、出張なんかで各都市を訪れた時に役立ちそうなちょっとしたネタという印象で、歴史の範疇を出た何か凄い知見を得られるようなものではないと感じました。
内容について、都市の世界史、と言っても都市だけを追っている訳ではなく、都市を軸にしながら時の国家の盛衰を述べていく感じです。(例えば、ローマの歴史は途中から教皇のエピソード集のような感じ)
個人的に都市のチョイスで意外だったのはサマルカンドとベルリン。各都市の章冒頭にある都市地図を見ると、この2都市がもっとも範囲が狭く、それだけ都市圏が狭いということかなと。ベルリンは東西時代の話がもっと厚いと思っていたけど、プロイセン建国に繋がる話がメインでした。
ちょっとユニークな言葉遣いもちらほら。イギリスのことはどうしても「連合王国」というワードを使うのは著者のこだわりか。
細かいところですが、図の構成や出てくるタイミングと、本文の内容との噛み合わせは改善の余地あり。
読んでいるとやっぱり現地に行きたくなる。ゆっくり滞在して、その都市について書かれた本でも読みながら回れたら最高だろうなぁ、と思わせてくれる本でした。
- 感想投稿日 : 2017年10月9日
- 読了日 : 2017年10月9日
- 本棚登録日 : 2017年10月1日
みんなの感想をみる