世界史の構造的理解 現代の「見えない皇帝」と日本の武器

著者 :
  • PHP研究所 (2022年6月20日発売)
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感想 : 16
5

Kindle Unlimitedが割引セールの時に契約するんですが、解約をつい忘れてしまい…解約を申し込みつつ、残り少ない期間で読める本を頑張って読んでまして、本著もその1冊です。。

「組織には属さず仲間と研究生活を送っている」という謎の物理学者、長沼氏による1冊。
「世界史」とタイトルにあるんですが、歴史好きが読む1冊…には全くとどまらず、「歴史を踏まえ、今後の世界の行く末を理解したい人」が読む本だなと。歴史の記述ではなく著者の考察が本著の本体です。
本著の記載や問題提起に全く賛同するかと言うと、正直本当にそうなの?と思う所もありますが、とにかく独自性の高い論理展開、知識量の豊富さ+目の付け所などブッ飛んでます。
現代的常識に囚われている自分としては度肝を抜かれすぎちゃって…という感じですが、このような問題提起が日本発でなされるコト自体が素晴らしいと思います。

例えば、本著で主張されている
・今の世界は、実は縮退している
・世界の問題は、気候変動なんかじゃない
なんてのは、いきなり言われると「陰謀論者か?」と身構えてしまうのですが、説明の筋は綺麗に通っていて、否応なく肯かされます。
(気候変動は何とかなる、ってのは、例えば酷暑・台風等で農業が成り立たなくなったら…?と思うと微妙な気もしましたが)

今後、人類が「長期的願望」ではなく「短期的願望」を優先していくと、その先に待っているのはディストピアだ、というのが本著の核となる主張だと理解したのですが、これはどうなるか。
個人的には、人間が短期的願望を優先してしまい、個人の精神力では止められない、というのは、↓の本で言う集団的幻想であってほしい。。
https://booklog.jp/users/skylark0311/archives/1/4140819391
そして、短期的願望ばかりを優先しないための「唯一の手段は宗教に頼ること」とありますが、"物語"の力はバカにできないように思います。(まぁ似たようなモンですかね)

最終章の「知的制海権」の話も非常に刺激的で、もはやIFRSやらISSB基準やらで企業・ビジネスの領域もブルーウォーター・ネービーの問題と化しているようにも思いましたが、「予備戦力」を意識しながら戦っていきたいところです。
ちなみに、最後の「理数系武士団には時間的な活動限界というものがあって(中略)長い眠りにつく」ってくだり、なんかもうゴジラかと(笑

手に余る1冊ですが、同時に読み込んで身に付けたい1冊です。著者の他の作品も読んでみようかと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: なんとなく興味ある圏
感想投稿日 : 2024年1月21日
読了日 : 2024年1月21日
本棚登録日 : 2024年1月21日

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