帰還せず: 残留日本兵 六〇年目の証言 (新潮文庫 あ 63-1)

著者 :
  • 新潮社 (2009年7月28日発売)
3.61
  • (4)
  • (4)
  • (9)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 53
感想 : 9
3


終戦後、なぜ日本に帰らなかったのか?
この問いを残留日本兵14人にインタビューする。その理由はさまざまであり、その理由により当時の日本の空気を感じることができる。なかなか興味深いエピソードが沢山ある。今、戦争を経験した人がいなくなるなか戦争というものを知ることができる。戦争が日常だった。今の人が考える戦争と当時の人が考える戦争は違う。当時メディアも一般の市民も戦争に熱狂したであろうことが窺い知れる。祖国のために戦争で死ぬことを教えられ、それを厭わず戦地に向かう。敗戦の混乱で、ある者は異国の独立戦争に身を投じた。またある者は逃亡した。そして異国の地で家族を持ち、その地で骨を埋めた。日本のことを思いながら。
彼らが戦ったからこそ、今の日本がある。
それを強く思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年3月8日
読了日 : 2022年6月29日
本棚登録日 : 2022年1月28日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする