知財戦略のススメ コモディティ化する時代に競争優位を築く

  • 日経BP (2016年2月5日発売)
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感想 : 9
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事業部長や、事業戦略部長が読むべき、優れた経営戦略書である!

「知財戦略のススメ」というタイトルであるが、内容は事業戦略において、知財を如何に活用して、企業の収益を向上するかを論じた、類書の無い優れた経営戦略本である。
複雑な事例を簡易に類型化してあるので、読み進むことによって、色々な事業戦略への応用が可能であると思う。独占が可能な、材料・化学・医薬といった分野と、技術が複雑になりモジュール化が進んで他社技術を使わざるを得ないICT分野の違いを理解をすることが必要だ。日本では多くの会社の知財部門は権利の細かな解釈に拘泥し、結果的に経営者が知財を経営のツールとして使うことを遠ざけるような傾向があるのかもしれないからこそ、この本はぜひマネジメントに読了してもらいたい。
日本でも特許訴訟提起を積極的に検討すべきこと、「特許権の行使の際には、ビジネスのゴールが明確であるべきである」、「刹那の遺恨で特許訴訟を提起してはならないこと」、「日本企業はもっと積極的に税コストを管理すべき」等の指摘は、正鵠を得ている。
些事を申し上げると、前半のコラムで標準化団体自身が、規格不可欠特許権利者とライセンス料率について議論するような想定がされているが、法律上禁止されている。また、ビジネス・エコシステムを創るための知財戦略について突っ込んだ言及が望まれる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年2月7日
読了日 : 2016年2月7日
本棚登録日 : 2016年2月7日

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