裁かれるのは我なり―袴田事件主任裁判官三十九年目の真実

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  • 双葉社 (2010年6月8日発売)
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いま、”凛の会”事件の証拠捏造事件で当時の特捜検事が起訴され、その上司らも身柄をとられて取り調べられている。 まさか検察官が、証拠に手を加えることなどがあるとは信じられない、との論調が元検察官らなどにあり、私も同様に驚愕した。 しかし、本書によれば、袴田事件はもとよりそれ以前にも司直(もっとも警察だが)による証拠捏造が疑われ、それを理由に最高裁が原審を破棄した事例があったという。 また、「「科学捜査の勝利」と書き立てるマスメディア」、「不祥事を挽回せんと無理な捜査をする警察」など最近の冤罪事件と同じ構造であったとの内容で、結局それはこの国の国民の刑事司法に対する無知・無理解によるものとしか思われない(その法教育が誰の手によりいかなる方法で為されるべきかはともかく)。 つまるところ、裁かれるのは熊本元判事補であると同時にわれわれ国民なのだろう。 なお、やや誤記や誤字が目立つのが気にはなる。 とくに、「東京地裁に即時抗告」のくだりは(図らずも重大な問題を提起しているようにも思われるが、)いただけない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 法律
感想投稿日 : 2010年10月16日
読了日 : 2010年10月16日
本棚登録日 : 2010年10月16日

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