東京大空襲の戦後史 (岩波新書 新赤版 1916)

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  • 岩波書店 (2022年2月18日発売)
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感想 : 23
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戦後79年経ったが戦争はまだ終わっていない。
原爆や沖縄戦の被害者のことは考えたことがあったが、東京大空襲や名古屋大空襲などの被害に遭われたことの人をあまり考えたことがなかった。なんたることと思う。
亡くなった方たちはもちろんのこと、命が助かったても怪我や火傷による障害が残ったり、両親を亡くして孤児になり苦労されたり、国によって起こされた戦争による被害は非常に大きい。それなのに何の補償もされていない。軍人・軍属にはあったのに。その格差を問題にし、たびたび裁判を起こすが、ことごとく敗訴。立法府の仕事だと判決でも言われるので、国会に請願するも全く進まない。年をとる。だんだん亡くなる人が増えてくる。
本にも書かれていたが「被害者が死ぬのを待っている」。
国というのは国民を見捨てるものだとつくづく思う。現在の状況を見ていても。無力感ばかりが募るが、この賠償請求を続けている方達は「未来の国民のため」とおっしゃっている。「新しい戦前」と言われる現在。国民はみんな一緒になって「国」と戦わなければいけないのではないか。

第2章の扉の戦災孤児の写真に心がつぶれる。何が「浮浪児」だ。親戚に引き取られた人たちも大変な苦労をされた。子供たちにこんな酷い目に二度と遭わせてはならない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2024年4月27日
読了日 : 2024年4月27日
本棚登録日 : 2024年4月24日

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