大空のサムライ (1967年)

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昨日、軽巡洋艦「矢矧」に測的長として乗艦、戦後霞ヶ関ビルやオランダ村の設計に携わった建築家、池田武邦先生が終の住処として建て、住んでいた大村湾片上湾の邦久庵を訪問する機会に恵まれましたが、まさにこの大東亜戦争を生き抜いて戦後日本の復興に尽力されてこられた方々の言葉には、今の日本人が忘れてしまった物事の本質があると感じます。

p411
人間の持って生まれた先天的性能というものは、何万分の一と言われるような天才や奇人は別として、私たちのような普通の人間は、ほとんど同じだと私は考えている。しかし、人間の後天的な性能というものは、その人の環境や職業、生命の危険に遭遇する危険率、その他いろいろ自己にかかってくる外力と闘う必要にせまられた場合には、自分では考えてもいなかったような力が出るものである。その力も、日頃から考えて、その必要に応ずるための訓練を、たゆまず行った場合には、さらにその力を向上させることができるものである。

私は思う。普通の人間といわれる大部分の人たちが、果たして生まれてから自然人死んでゆくまでの長い期間に、自分が持って生まれた人間としての性能の何パーセントを使って、この世から去って行っているだろうか…と。私は、平均三十パーセントくらいだと考えている。あとの七十パーセントは捨てているのである。
私は、戦闘機乗りとして、喰うか喰われるかの空中戦を経験した結果であるが、そのようなことでは生命力がもったいないと思う。さいわい、あのすさまじい戦争を生き抜き、勝ち抜いた私は、これから後といえども、この心構えを持ち続け、自分の力の最大限を燃やし続けていきたいと思う。また、そうすることをみなさんにもおすすめする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年6月3日
読了日 : 2020年3月22日
本棚登録日 : 2018年5月12日

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