深い深い水たまり

著者 :
  • KADOKAWA (1997年10月31日発売)
3.85
  • (51)
  • (25)
  • (73)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 276
感想 : 31
5

1997年発表。


大きなつり目の女の子をモチーフにした、
かわいくてこわい独特の画風で
アジア・アメリカ・ヨーロッパなど、
世界の美術愛好家を魅了した
奈良美智、初の画集です。


よしもとばななさんの小説の
表紙や挿し絵でもお馴染みですね(^_^)


奈良さんの作品は
その時代時代によって雰囲気が違うんやけど、

悩める子供や
犬などの動物をモチーフにした、
ポップでピュアで
パンクスピリッツあふれる
胸がきゅい〜んとなる初期の作品が
一番好きです(^O^)




包帯を巻いた少女。

口から血を流す子供。

水の中沈んでいこうとする子供。

ギターを持って歌う少女。

ウサギの着ぐるみ姿の子供。

悪意に満ちた笑顔を浮かべ、
攻撃的な武器を手にした少女。



奈良さんが描く
鋭い目をした子供たちは、
イライラして
恨めし気で
陰険で
イタズラっ子で
破壊者で
センシティブで
焦燥感を抱えていて
空を飛ぶ夢を持っていて
誰もがみな残酷で
孤独の中にいる。


また絵に添えられた
想像力を刺激する
奈良さんのメッセージが
いいんですよ♪



誰もが
彼が描く幼い子供たちに
過去の自分の姿を重ねずにはいられないだろうし、

今も自分の中にいる
痛みを抱え血を流す子供たちに気付かされ、
自己と対話する機会を与えられる。


アーモンド型の目をした憂鬱な少女たちは、
今の自分たち自身を映す
鏡のようなものなのかな。
(だからこそ、何度となく眺めて見たくなるのです)



物分かりがよく
無味無臭な
クリーンな大人になるくらいなら、

傷だらけで
ワガママで
夢見がちな子供の方がいい。


もっと想像の世界を飛び回ろう。

不可能は
自分が作った錯覚に過ぎないし、
想像こそが
現実を作るんやから。


誰もがみんな
子供だったと思い知らされますよ♪

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2013年4月8日
読了日 : 2013年4月8日
本棚登録日 : 2013年4月8日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする