恋になるなら (ディアプラス文庫)

著者 :
  • 新書館 (2007年12月10日発売)
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本棚登録 : 104
感想 : 10
3

入社して日の浅い上村は、営業職なのに人付き合いが苦手。というのも、見た目の印象でいつも誤解されるからです。そんな上村が社内でばったり中学のバスケ部先輩伴瀬に再会します。中学の時と変わらず気軽に声をかけてくるちょっと俺様な伴瀬。次第に彼にだけは上村は心を開いて屈託なく接することができるようになっていきますが。

前半はちょっとめんどくさい性格の上村が、伴瀬との付き合いで素直になっていく様子が描かれています。はじめは伴瀬にご飯を付き合わせられたり、母校のバスケ部に二人で行ったり、友人としての関わりだったのが、いつの間にか一線を越えてしまうという、スローテンポながらもけっこうドキドキさせられる展開。伴瀬みたいな迫り方ならアリかな、と思わせられます。彼に心を許してきた上村が乱暴な態度や物言いをしても、「本当は繊細で、生意気なんじゃなくてキャパがいっぱいいっぱいなんだ」と労わるし、鋭い指摘もできます。頼りがいがある先輩なので、上村が好きになるのも納得です。
二人で過ごす時間が増えるにつれて、友達以上の行為がエスカレートしていくのも生々しく。きっかけは戯れのキスからで、そこからどんどん深まっていくんですが、場所も温泉、車内、自宅はもちろん、カラオケ屋までバラエティ豊か。

ところが、後半事態が急変。物語の雲行きも実に深刻になっていて、これは予想外でした。
せまられて、意識するようになってそれが恋だと気づいた途端、説明もなく伴瀬は距離を置くようになり、連絡すら取れなくなってしまいます。上村がかわいそうになってしまうけれど、男同士で愛し合うということの覚悟を求められるところは、ただ恋に浮かれている男同士というだけの話にしたくなかったのかな、というかんじ。でも、もう少し別の形の描き方でも良かった気もするし。

前半と後半の落差が大きすぎて、ちょっとついていけなかったのが残念。そこが狙いだったとしたら、読み込めなくて不覚でした。前半は良かったけど後半はテンションが下がってしまった上に、退院後のHシーンはそんなに無理しなくても…!と変に気を使いました。

面白くて爆笑したのはあとがきです。笑いました。武士になったのも受けました!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 渡海奈穂
感想投稿日 : 2011年12月13日
読了日 : 2011年12月13日
本棚登録日 : 2011年12月13日

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