藍苺(ランメイ)畑でつかまえて (ディアプラス文庫)

著者 :
  • 新書館 (2013年6月8日発売)
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感想 : 20
5

帯のあおり文句は「俺の村に、お嫁に来チャイナ♥」
上手いですね~物語の全てを言い表しています。

嫁不足に悩む過疎&高齢化の綾織村。そこで、未婚男子のために一大婚活プロジェクトを立ち上げることに。それに仕方なく参加したのは、ブルーベリー農家の長男、信。家族は大乗り気です。
花嫁候補は、村が旅費観光とすべて無料で招待する中国の女性たち。現在の日本と中国の関係にももちろん言及していますが、そこはリアルな現実とセンセらしいユーモアがうまくミックスされていてハートフルな仕上がり。こんな風にすべてが上手くいけばハッピーだよね、と楽しい気持ちにさせられました。

一方、先輩女子の付き添い&ガードとしてプチ女装で婚活に参加することになった中国男子の夏雨。彼は名門大学を卒業しているのに就職難のあおりをモロに受けて、バイトで細々と暮らしながら就活で連敗記録を樹立していた最中。
ネットで知っている日本は嫌いな国だったのに、婚活に紛れて綾織村で信やその家族と出会い、だんだん彼らのことが好きになっていってしまうのです。そして自分が男だということを隠しウソをついていることが苦しくなるんですが、ここでまた大爆笑な下着事件が勃発!
最後まで飽きさせずにキュンキュンうるうるさせてもらいました。
非常に面白かったでした…って、夏雨みたいな口調もクセになりそうです。

立て板に水というか、弁舌爽やかというか、いつもの事ながら見事な語り口で楽しませてくれます。
特に今回は受が中国男子ということで微妙な隣国感情もあるのに、そこは軽快にクリア。
でも、初対面の二人が15分間嫌味を言い合うシーンではデリケートな部分にまでズバリ痛烈に言及していて、とても興味深いものがありました。
そんなどうにも相容れなさそうな二人が最後両想いになるまでの経緯に深いものがあって、笑えるのに感動させられてしまいました。

夏雨がほんとにかわいいんです。かわいい色気があって、ツボでした。ちょっとおかしな日本語もかわいいし、性格も素直で、信が好きになったのがよくわかります。勘違いや言い間違いがいいギャグになってるんです。「そんなに言うならお嫁に来てやる」っていうのに爆笑。懐が大きい、太っ腹を、「ケツの穴が大きいどてっぱら」といい間違えたのにも大笑いwwキュン死にしそうに…!
あとセンセらしいネタでは「TWO PIECE」「進撃の阪神」「バルセロナの菊」!!
一人で笑っているのがもったいないくらい面白かったです。

ネタも満載で絶好調でしたが、今回よかったのは信と夏雨に萌えまくれたところです。いつもより萌え成分が濃厚でした。どんどん二人の仲がラブラブになっていくのが、読んでいて楽しくて楽しくて…
そして、いつ皆に二人の関係を打ち明けるのか、我が事のように心配しちゃいました。果たして、そんな彼らが家族や村の人々に受け入れてもらえるのか?
その結末は、書き下ろしの「藍苺畑でつかまえた」でしっかり描かれています。過疎の村の人口が少し増えそうです。


夏目イサクセンセのイラストもぴったりだったし、とにかく上質のラブコメでした。小林典雅老師wwぜひぜひチャイナドレスプレイ番外編、プリーズ!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小林典雅
感想投稿日 : 2013年6月13日
読了日 : 2013年6月13日
本棚登録日 : 2013年6月13日

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