好きで、好きで (ディアプラス文庫)

著者 :
  • 新書館 (2014年8月9日発売)
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本棚登録 : 291
感想 : 33
5

出来上がっているcpのストーリーって、面白く読ませるのが難しいと思うんですが、このストーリーでは付き合って10年になるcpにちょうどいい感じでハラハラさせられ、ほろっとさせられ、心にじわっと甘さが広がる…というスゴ技で魅せていただきました。

これが文庫2作目の注目している作家さんです。前作もそうでしたが、内容はわりとよくある王道ラブストーリーです。
高校卒業時に玉砕覚悟で志方に告白して、意外にも恋人同士になれたことを至上の幸福だと思ってずっと彼に寄り添ってきた穂木。10年経って志方はエリート銀行員、穂木は編集者として仕事をしているけれど、ノーマルな志方を外れた道に引きこんだと思っている穂木はあれこれ一人悩みまくります。

帯の推薦文で一穂ミチセンセが「一生やってろ、と心から言えます」と書かれていて思わずその通り!と思ってしまいました。二人のやりとりに、もうじたばたしちゃいます!
だって、穂木の理想の男は志方で、それは空が青いのと同じくらい不動なんです。
自分の方がずっと相手のことを愛していると確信しているし、自分のせいで志方がまっとうな幸せを失っている…と思い込んでいます。
職場の同僚の女子と一緒の志方の姿を見て、嫉妬に胸を焦がしたり、仕事を彼に褒められて頑張りすぎてしまったり。
…なんか穂木ってぽやっとしてるところがあってカワイイです。キュンキュンさせられたり、涙させられたり。
やればできる子なのに、志方に食事を作ってるほうが良いなんて嫁のラブラブ思考そのもの。

そんな穂木に「馬鹿」とか言いながらも愛がダダ漏れている志方もシカタないですね←
口下手なところがたまらんと思うのは、穂木だけじゃないです。カッコイイです。
でも、その口下手が災いして妙なことになってしまうんですけどね。説明不足は罪ですね。
なのに、いったん口を開くと痺れる殺し文句が!!何度かハートを打ち抜かれてしまいました。
…穂木がクラクラしている姿が想像できます。

心理描写がとても丁寧で、穂木の感情の起伏が手に取るように伝わってきてとても共感できました。
大人向けのちょっぴりビターな甘さが程よく味わえる、すてきなラブストーリーでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 安西リカ
感想投稿日 : 2014年8月12日
読了日 : 2014年8月12日
本棚登録日 : 2014年8月12日

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