鬼畜 (二見書房 シャレード文庫)

著者 :
  • 二見書房 (2012年1月24日発売)
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本棚登録 : 271
感想 : 36
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BLで言う「鬼畜」じゃなくて、ホンモノの「鬼畜」野郎が登場。変態とは違って相当病んでいます。うっとりロマンチックなBL希望なら回避した方が賢明でしょうね。

親元から離れて暮らす大学生の文人が、祖父母の死がきっかけで実家に戻るところから話が始まります。
迎えにやってきた高校生の弟は始発から駅で兄の到着をを待っていた上に、「ふーちゃん」と体に似合わないキモい幼児言葉で兄に話しかけてくるのです。

この弟が○印でした。で、子供っぽい言葉遣いで抜け目無く迫られ、見えない糸でぐるぐる巻きにされた文人は、逃げ場なく追い詰められてあっさり毒牙に引っかかってしまうのです。
達也の尋常じゃない追い詰め方にドン引き。外堀を埋めるようになんて生易しい方法じゃないですね。堂々公開中。自分と兄以外は全て部外者と思っています。兄を所有すること以外には何も考えていない恐ろしさ。

BL以外のアダルトで、この手の小説を何冊か既読しているので嫌悪感はあまりなかったけど、近親相姦を扇情的に描いた、ただのエロ小説にしかすぎなかったのがちょっと残念かも。
「ふーちゃん」と兄を呼んで、兄にも自分のことを「おにいちゃま」と幼児言葉で呼ばせるエロはよかった。そこまで文人が堕ちていくのも萌えたし、会えない時にそこまで妄想爆発させてた性欲過多な弟ってのも納得できたし。あけすけなお下品エロ表現がいっぱいで、そこは好みが分かれるところ。
エロシーンはそこそこよかったけど、情緒面がいまひとつだったかな。もっと、こわれてる弟の兄を慕う切ない気持ちが出てたら、ちゃんとしたBLになっていたと思うし、星が増量していたと思います。
一貫して文人目線で語られているので、これは家族が全員狂っていて相当悪いヤツなのではと思わされるけど、幼少時代の回想シーンを読むと、実は魔性の兄が原因という感じが、なきにしもあらず。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 吉田珠姫
感想投稿日 : 2012年2月2日
読了日 : 2012年2月2日
本棚登録日 : 2012年2月2日

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