真夜中の蜜約 (クロスノベルス)

著者 :
  • 笠倉出版社 (2012年3月10日発売)
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本棚登録 : 104
感想 : 9
4

あとがきで「きっと騙されてくれる人が続出」と書かれていて同感しました…でも最近の小椋ムクセンセはかなりの痛みにも対応してる気がします。なのでイラストも結構合っていると思いました。

虐待の限りを尽くされ、悲惨な毎日を送っている高校生の優樹。かわいそうな身の上です。事故で両親を亡くし、叔父家族からこんなことがあっていいものかと思うほど理不尽なイジメを受けています。ベタに悲惨です。
王道昼ドラ風でもあり、性的な虐待もあるのでそれ以上でもあり。
耐えられず家出した優樹に手を差し伸べてくれたのは、秀隆という行きずりの男。親切という形の優しさだったのですが、それでも優樹は精神的に救われます。
そして後日、優樹は秀隆と衝撃的な再会を果たすことになるのです。

何から何まで痛い話です。ツッコミどころもいろいろあるのですが、とにかく優樹の置かれてる状況が悲惨。鬼畜な叔父の家族は許せません。
人身御供は酷かった。最後まではいかなくても、あれこれされて結局SM陵辱。
最後は優樹の身が危機一髪というところで、秀隆がタイミングよく救い出すのですが、あれも間に合わなかったら大変だよと突っ込みたくなること幾度かありました。銀行員を使った画策もハラハラさせられました。

優樹が悲惨な生活から逃れたものの、今度は秀隆の気持ちが信じられなくなってしまい、自分が汚れていると思い込んでいたのには泣けました。切なすぎです。
秀隆も報復することで溜飲を下げることはできただろうけど、今度は大切な者の信頼を裏切ることになって、新たな苦悩や葛藤が生まれてしまったのがとてもやりきれませんでした。
ただ、懲らしめ方の点で言えば智美が至上最低女だったので、もっと別の有効な方法がなかったかと、それ位じゃまだまだ生温い気がしました。
秀隆と優樹の気持ちが最後通じ合う場面に安堵です。救われる気分。

辛い話ではあるのに、なんか甘苦しいというか、胸にきゅーんとくるものがあるというか、意外にエロじゃなくて、心理的な部分での萌えが大量でした。嗜虐性を煽られましたね。
それに、隠れて愛し合うとか、利用されていたと懐疑的になる受の気持ちとか、気付いたら本気になってしまう攻、とかに弱いので。
エロ的には、陵辱がダメな方には不向きな描写もかなりありますが、秀隆と優樹の濡れ場は扇情的で、甘くて切なくて印象的です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: いとう由貴
感想投稿日 : 2012年3月13日
読了日 : 2012年3月13日
本棚登録日 : 2012年3月13日

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