上海散華 (ラヴァーズ文庫GREED 3)

著者 :
  • 竹書房 (2008年10月25日発売)
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本棚登録 : 160
感想 : 19
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沙野作品にしては生温いかなーとも思ったけど、何度も読み返してみたらやっぱり容赦しないハードさをあちらこちらに発見。

中国マフィアが登場するだけで面白いんですが、今回は貴族の気位高いお姫様受。晶羽は気が強いのはいいけど、かなり攻の炎爪を振り回して酷い目にあわせていますね。まっさらで、箱入りだったのが充分感じられるけど、何だかイラっとする…
炎爪は、言うことを聞かない晶羽をマトモ?にしつけることにサドッ気を覚えたんでしょうかね。温情を与えてしまった時点で随分晶羽のことを気に入っています。凌辱というより、晶羽の羞恥心を煽って矜持を粉々にする攻め方なので、非常に甘い。エロスイート。

期待していたハードで殺伐とした雰囲気は、今回薄味です。でも、異国情緒、レトロな味わいは充分。舞台も上海、日本、船上、そして娼館と幅広くロマンチックで妄想をかきたてられます。

炎爪は冷酷なマフィアのボスというよりは、不遜だけど包容力があって情の深い男です。そういう攻に異質感を持ってしまうと、ぬるくて興ざめかもしれません。冷酷で非情で凌辱大好き系攻なら、炎爪と淋の仇である英冥がオススメです。

晶羽が様々な苦難を経験して次第に自分が無知であったことに気付き、人の痛みまでわかるようになる成長ぶりがいい。今まで炎爪から与えられるだけだったのに、能動的になろうとする晶羽は共感できます。「警官に引き渡して悪かった」と謝ることができた晶羽へ、炎爪も同様に謝罪するシーンは好き。身体の関係は濃厚なのに精神的に距離感があったから、素直によかったなーと思えました。

萌えはやっぱり晶羽の処女喪失+性感開発です。娼館監禁とか、チャイナ服で観衆前の公開Hとか、萌えどころはいろいろ。

英冥×淋は「上海血華」のほうで。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 沙野風結子
感想投稿日 : 2011年6月16日
読了日 : 2010年4月30日
本棚登録日 : 2010年4月30日

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