狂犬と野獣シリーズ最終章。警視庁公安の靫真通と、彼の協力者であり今では恋人でもある893峯上周が、邪悪なテロ組織の首謀者で以前取り逃がしてしまった礎野田櫟と再び対峙します。
前の2作同様、甘さを徹底的にそぎ落としたドライでハードなストーリーでした。なので、「甘えたサン」というセリフ一つでジタバタ赤面!めちゃくちゃ悶えまくります。
それくらい、容赦ない血まみれシーンが続々とあるんですよね。
今まで何があっても靫の味方だった峯上が、櫟の手管に嵌りテロ組織に取り込まれてしまいます。そこで、靫は気が付くんですね~どんだけ今まで峯上の愛の上に胡坐をかいてきたのか?と。それだけ彼を信頼していたわけなんだけど、失踪する直前「あんたを信じられない」と詰られた意味をようやく理解し、大いに反省するのです。そして、奪還を決意。
洗脳され櫟の側についてしまった峯上を自分の元へ取り戻すため、危険を覚悟でテロ組織に潜入する靫がいつも以上に漢らしく、峯上への想いの強さを感じました。
刑事モノとしてもかなりのクオリティ。隙が無くて、かなり仔細にわたって作りこまれた設定だなと。集団洗脳の禍々しさに圧倒されました。ありえないことじゃないので怖かった…
人々の心の弱さにつけ込む手法がリズム、光からサブリミナルなものに。洗脳するだけじゃなく、人々に負の精神を「定着」させ最終的に破滅させようともくろむ櫟。母親からしっかりカリスマ性を受け継いでいる上に魔性のオトコというのが恐い。
でも、彼の心の深い闇を知ると単純に悪人と糾弾できず、複雑です。
エロ的にも、漢×漢の濃厚通り越して重厚Hをこれでもかというほど堪能。H自体が戦いなんですよね。ある意味挑戦なんです。
そして、洗脳を乗り越えるためのものだったりするので、無意味なエロじゃないのが面白かったりします。自分のHの抽送リズムを忘れさせられ櫟のリズムでHする峯上の洗脳を解くため、靫のリズムでHするという策をとるのがエロすぎた。官能の極致w
愛あればこそ!というのがものすごく伝わってきて萌えました。
あのチワックス宮木が光といい関係みたいで、そこも萌えた。相変わらず靫にいじられまくりでかわいいです、宮木。
大人のBLでしたね。読み応えのあるシリーズだったと思います。読後に感じる満足感が大量。
- 感想投稿日 : 2012年10月3日
- 読了日 : 2012年10月3日
- 本棚登録日 : 2012年10月3日
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