遺産相続者たち: 学生と文化 (ブルデュー・ライブラリー)

  • 藤原書店 (1997年1月1日発売)
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本棚登録 : 99
感想 : 7

買ったのは二年生の前期、自殺論の翻訳者である宮島先生の授業にて参考文献リストの内、タイトルがかっこいいので勢いのままに…だがそれからは軽く読んでぽいっ…だったので反省、いまさらまた読みなおしたわけなのです。
苅谷さんの二冊の新書でも言っていたことだが、日本の教育における平等観は学級を最低単位にした「面の平等」を想定しており「均質な空間・時間を用意してそこで繰り広げられる教育・学習においても、等量・等質めざす」もの、つまり主に貧困などにみられる経済的要因による差別から解放された差別のないみんなが同じ条件で学べる空間としての”学校”という場所を考えたわけだが、差別への意識が「経済的要因」のみを考えてたから、本書の文化的要因はするりと盲点になって、その姿をみせずして影響力を誇ってたわけだ。とまぁ自分の今年のゼミ論の関連分野に関しては興味深く読んでたけど、2・3章は正直あんまり理解できてないという状況なのでまた再読候補に任命ということです。
 あと文化資本概念と関連させて、自分なりに興味をそそられたのはネットワークの量と質(紐帯の強度)について。そもそもこの概念は、階層レベル・家族レベルの影響を主として含んでいるけど、関係の個別性に関しては何も言っていない、というか意図していないじゃないかと勝手に想像汗。僕が気になったのは、日本が明治以降近代化してから、家族形態がものすごく変化した。それまでは三世代家族が普通だったが、都市に出ていく人々が増えたためにその時期から核家族が急に増えていった。文化資本の観点から家庭内において子供に文化を相続させることができる人々が4人から2人へと減ったわけだからなにかしらの変化があったりしなかったの?って思ったのです。祖父・祖母の存在の有無が文化資本伝達になんらかの影響が…って思ったのだがこの考え、的外れな気がすごく強い。その有無などどう把握すればよいのか、とか。だから気にしないでいただきたい。
 ちなみ着想を得たのは、ゼミ友の卒論テーマがソーシャル・ネットワーク関連で彼のテーマ&参考文献のグラノヴェターさんの「転職」という本の影響を受けたんだがなー。文化資本とネットワークの関係…いやそもそも文化資本概念自体ネットワークを含んだものだしな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会学系
感想投稿日 : 2011年1月18日
読了日 : 2011年1月16日
本棚登録日 : 2011年1月11日

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