タイトルは「原発推進派」を思わせますが、「反「反原発」派」による本、と捉えた方が、より的確な気がしました(結果的に、原発推進派と捉えてよいとは思いますが)。
第1章(発電方法の違いによる死亡者数の違い)、第2章(放射線のリスク)、第3章(再生可能エネルギーの現状)あたりは、『ファクトフルネス』を思わせる内容で、的確な数値を用いて、「反原発」がいかに非現実的な考えであるかが、勢いよく述べられています。
しかし、地球温暖化の話である第4章あたりから、定量的な話が減り、定性的な話が増え、前半で見られた歯切れのよさ、それにともなう小気味よさが薄れているように思います。
また、第6章の「原子力」に関する説明は、わかる人にしかわからない内容だと思われ、この章だけ、文章の質が著しく低いように思います(対象となる読者の設定がおかしい印象。この章だけ、編集者が機能していないのかもしれません)。
とはいえ、原発推進派の本として、この本はかなり説得力のある、よい本だと思います。
ちなみに、少し前に読んだ『それでも原発が必要な理由(わけ)』も、おそらく、本書と同じ思いで、原発推進の主張をしたかったのだと思いますが、原発を推進する理由を述べた本としては、本書の方が圧倒的に優れていると思います(本書は、『それでも~』よりも5年も前に出ているにもかかわらず)。
今のところ、原発推進派の本としては本書、原発反対派の本としては『原子力の社会史』を読むのがよいと思っています。
原発に関する技術を理解する上でも、この2冊を読めば、基本的なところは押さえられるかと。
- 感想投稿日 : 2024年2月26日
- 読了日 : 2024年2月26日
- 本棚登録日 : 2024年2月26日
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