「質的研究とは何か」を、会話形式でわかりやすく講義していくような説明スタイル。ただぼんやりと「どうなのかな?」と思っている疑問を学術的にするためのヒントが満載。
①質的研究の優れている点(p24)
どうしても定量的な研究には量や数値で劣ると思われがち。だが、定量研究はなんらかの前提の上で統計にかけるなどを行うが、定性研究はその前提自体を問い直すことを行う。「その環境の中で生きている内部者の視点を持つ。」定量的な研究では見えない、そこに質的研究の意義がある。
・ 定量…実態調査、事実確認、仮説検証
・ 定性…仮説生成
②リサーチクエスチョンの考え方(p56)
質的研究は人々の内的視点を重視することが1つの特徴であり、人々の内的側面、意味世界の様相やその変化を捉えるのに向いている。だから、対象者が○年後にその出来事をどのように位置づけ、どのような意味を見出しているのかはRQになる。これは事実の問題ではなく、その人が当事感じていた“どのように感じていたかの”実感であるため、当時の事実のズレは問題にされないのである。
③リサーチクエスチョンを学問の俎上に載せる(第6回 テキストから概念を作る)
ある事柄に対して、1年後にどう感じているか、それが肯定的なこともあれば、否定的なものもある。そこから、その人にとっての位置づけや意味が多様化していることを分類すれば、概念が作り出せる。話した内容ごとにタイトルをつけ、それを分類する中で、通説とは違う一面が見えてくるはずである。
- 感想投稿日 : 2012年10月7日
- 読了日 : 2012年10月7日
- 本棚登録日 : 2012年8月25日
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