哲学入門 (ちくま学芸文庫 ラ 4-1)

  • 筑摩書房 (2005年3月9日発売)
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感想 : 54
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今のこの世界においてすら、心に対する善は、身体に対する善と少なくとも同程度には重要である。こういう心に対するさまざまな善の中にのみ、哲学の価値は見出される。また「哲学を学ぶことは時間の無駄ではない」ということに納得できるのも、そのような善に対して関心が持てる人だけだ。
・・・・・・『哲学入門』187頁

「哲学とは何か?」を知りたいと感じたなら、まずはこの本を読むべきなのかもしれない。哲学が今なお抱え続ける問題とその解釈を、歴代の哲学者を通して解説してくれている。もちろん全てではないし、ラッセル流の解釈なのだろう。難解な部分や曖昧さを感じる部分もあるが、『哲学入門』という題をつけるだけあって、哲学的知識のない人への配慮を感じる文章に思えた。

哲学は他の自然科学に比べ、多くの不確定さを持ち合わせている。
だが、天文学や心理学も元は、哲学が扱っていった分野であった。研究を重ね、確かさを獲得した分野が哲学から独立し新たな学問として名前を持つようになった。それゆえに、哲学が不確定さを持つという捉え方は正確ではなく。未だ科学に答えられない問題こそが哲学なのである。
という、解説には、大きく頷かされた。

また、十五章からなる本文だけではなく、
「ラッセル本人による序文」、「ジョン・スコルプスキによる解説」、「訳者である高村夏輝による解説」を読むことで、より正確に本書を理解できる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学
感想投稿日 : 2010年10月18日
読了日 : 2010年10月18日
本棚登録日 : 2010年10月11日

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