英雄たちの朝 (ファージングI) (創元推理文庫) (創元推理文庫 M ウ 21-1 ファージング 1)

  • 東京創元社 (2010年6月10日発売)
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感想 : 40
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作中では続いてるっぽい第二次大戦中にナチス・ドイツと講和しているイギリス。講和に貢献したファージング・セットという政治派閥の一人がある日殺されて、ファージング・セットの一員の娘だけれどユダヤ人の夫を持ってる、その夫が殺人の容疑をかけられる…というより犯人に仕立て上げられてる空気。歴史改変ミステリーです。
真犯人はほぼ確定してるけど、ユダヤ人は憎いからこいつにしとこう感がすごくて。1作目の主人公のルーシー・カーンも夫のデイヴィッド・カーンも好感が持てる人物なのでつらい。ユダヤ人と、爵位持ちで国家権力の中枢にいるお家の娘が結婚してるってだけで針の筵みたいなのに。ルーシーは使用人と丁寧に関わってきたから、大変な状況になっても助けてくれる人がいるのだけが救いです。
ファージング・セットの皆さんも、ルーシーの父親のロード・エヴァズリーだけちょっとマシで、他は母親含めて全滅。自分の地位だけが大事みたいな人ばかり。
スコットランドヤードから派遣されてきたカーマイケル警部補は実直な人で「ユダヤ人だから」「イギリス人だから」「権力のある人だから」とかに拘ることなく証言を集めて真犯人にたどり着くのだけれど、ここでカーマイケルの性的指向が大きく立ちはだかる…という胸糞展開でした。そう言えばナチス・ドイツは同性愛者も収容所送りにしてたから、同じような情勢を辿っているイギリスもそうだよな。。
富者と貧者に別々の法律が存在するのは今に始まったことではない…「カーマイケル、政治を超えるものなんか、なにひとつないんだよ」
続きも読みます。闇堕ちしたカーマイケル警部補が心配。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年1月9日
読了日 : 2022年1月8日
本棚登録日 : 2017年11月25日

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