胸さわぎのクルーズ

著者 :
  • 講談社 (2011年1月21日発売)
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感想 : 17
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60歳を目前に大学の同窓会で久しぶりに会った、かつて同じ寮に住んでいた3人組が意気投合して、10日間のクルーズに参加。

一人は家庭持ち子ども3人で、真面目だけが取り柄の趣味もない男性と結婚してしまい、老後、家で一日中寝転がって食事を待つだけの夫と暮らすことを考えるたび憂鬱になってしまう秋葉倫代。
一人は離婚後、妊娠が分かり女手一つで娘を育てるも今後に不安を抱き、2年前に自分の好みではなかったが小さな会社の経営者で持ち家があるという理由で結婚した水上万智子。
著名人と結婚し、子どもなしで贅沢で優雅な生活を送っていたがその夫を事故で亡くし、贅沢な生活が抜けずあれよあれよという間に財産が目減りしてすっかり贅沢どころか、毎日の生活も大変になってきた古谷容子。

かつての友と昔を懐かしみ今を楽しもう!と旅行に出かけたはずが、船内で知り合った男性たちと会話を重ねていくうちに、もう一花咲かせたい、輝きたい、と思うようになっていき、友人がいい雰囲気になると羨んだり焦ったり。
旅行後半になればなるほど、いま現在身を置いている非日常世界のあとに待っているだろう現実生活とのギャップに焦りが見えます。

3人3様に60を目前にこんなにも焦りもがいて、そんなにも女性の60歳のラインは『女』としての自分を意識させるものなのか、と頭をひねってしまいました。

まだまだ先(と思っている)の60歳。
自分はこんな気持ちにはならないような気がするけれど、10日間もの非日常空間に身を置くと、気持ちも変わってくるのだろうか。

最後の最後で小さな幸せをつかみそうだった容子の、下船後の容態が気になります。

※ 豪華船クルーズに憧れていたけれど、その参加者のほとんどは、時間やお金にゆとりのある高齢者が多いのですね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年5月29日
読了日 : 2019年6月22日
本棚登録日 : 2022年5月29日

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