先日、池間哲郎さんの講演を聴く機会に恵まれ、縁あって本書を手にしました。
池間さんが凄いのは行動力だけではなく、自分が見聞きした情報を伝える能力の高さだと思いました。アジアの子供達の究極の貧しさ、それとは逆に精神の強さが、池間さんの文章からダイレクトに伝わってきました。
私なりにアジアの貧困問題にはアンテナが高い方だと思っていたのですが、なかなか常にそうあり続ける事はできてなかったような気がします。
講演の内容と被る部分は多かったのですが、夢中になって読み続ける事ができ、感動と自省の念に駆られました。読み終わり、勢い余ってPart2を注文しました。もう絶版なんですね。マーケットプライス様々です。
ありがとうございます。
以下、本書で共感した箇所です。
(page.59)
本当の戦争の怖さというのは、人の心が狂ってしまうところにあります。平和で安定した社会に暮らしているから、われわれは人間性を保てるのです。戦場では人間性を持っていたら生き延びられません。
(page.96)
お金も何もないから心も貧しいと思うのは大間違いです。人間としての優しさや生きる力のたくましさ、人を愛する心は、貧しさの中で生きている子どもたちのほうが深くて大きいとさえ思うことがあります。そういう子どもたちに接すると、日本の子どもたちが人間として最も大切なことを忘れているのではないかと心配になることがあります。
(page.99)
「お父さんが僕を捨ててくれたことに感謝しています。家畜が凍死してしまい、食べる物もなくなった。そのまま遊牧の暮らしをしていたら自分は死んでいたかもしれない。だから、お父さんがウランバートルまでやってきて僕を捨てたことに感謝しているのです」
(page.113)
自分を愛してくれる親がいる。住む家がある。毎日ご飯が食べられる。こんな当たり前のことが夢だといった五歳の男の子がいることを、どうか覚えていてください。
(page.118)
第二次世界大戦が終わったあと、日本ほど世界から援助を受けた国はないと言われています。世界中が日本だけを援助したのです。日本の社会基盤の整備は自分たちの力でやり遂げたと思ったら大きな間違いで、世界中が援助してくれたからできたことです。
(page.131)
どんな人であろうと、誰かに愛されているとわかれば生きようと思うようになる。愛し、愛されることが大切なのです。
(page.161)
モンゴルの子どもたちがホームステイ先の子どもたちに大変いい影響を与えるからです。たとえば、お母さんの出してくれた食事を食べ終わったら、モンゴルの子どもたちは自分たちで率先して食器を洗います。そして、沖縄の子どもたちがボーっと座っているのを見て、「なぜお母さんがこれだけ仕事をしているのに、子どもがのんびりしているの!」と言って、すごい剣幕で怒りだすのです。
(page.172)
ありあまるほどの食べ物がある恵まれた環境の中で暮らしている私たちですが、そうした豊かさが私たちに「命の尊さ」や「生きることの大切さ」を見失わせているのではないかと感じています。だからこそ、日本中の子どもたちがアジアの貧しい子どもたちから真剣に生きる大切さを学んでほしい。そして一生懸命生きることの大切さに気づいてほしいとおもっているのです。
一生懸命生きる人じゃないと、本当の命の尊さはわかりません。真剣に生きる人じゃないと、人の痛みや悲しみは伝わってこないと思うのです。誰かのため、人のためではなく、自分自身が懸命に生きる。それが私たちにできる一番大事なボランティアなのです。
- 感想投稿日 : 2012年5月18日
- 読了日 : 2011年10月31日
- 本棚登録日 : 2011年10月31日
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