世代論のワナ (新潮新書 451)

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  • 新潮社 (2012年1月1日発売)
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感想 : 20

・世代論のほとんど若者論
←オジサンたちの溜息の受け皿として受け入れられてきた。
そこには、「生まれ育った社会の中で様々な影響を受けて、その結果現れる”今どきの若者”」という発想がない。まるで”今どきの若者”が宇宙からやってきたかのように。
※自分に責任を感じることもなく原因を他に求める。

ex)ゲーム・ケータイetcの負の影響を語る際、それに没入する若者に対する批判も語られるが、それを若者に押し付けたのは大人であることを忘れている。

・世代論を作り出すのは基本マスメディア
→しかしメディアは広告として(商売として)それを用いている。ビジネスとして世論を操る
→消費者として力のある世代(最もメディアに触れる機会が多い世代)が批判のターゲットとなることはない
→往々にして一方的な、都合の良い見方

ex)就職難の言い訳として、パラサイトシングルなりニートなりの言葉を流行させ、ダメダメな若者にクローズアップした収録を流す。社会的責任逃れ。
最近はもうちょいましになってきたか…

…ビジネスで世論を操っているマスメディアが電波を独占している状況はやはり好ましくない。ジャーナリズムとして機能はしていないよなぁ。

・世代論の切り口
①文化②消費行動(若者世代の○○離れetc)③資源配分(就職氷河期etc職の需要に関する)
←①と②に関しては狭小な見方、浅い議論が多い。
←②の○○離れに関しては、広告費が減ってきたマスメディアのいらだち。ゆえに議論も浅く、偽の(買わない若者が悪いという)結論に至る。

・仕事上、初めての人とコミュニケーションする機会が増加してきた→コミュニケーション下手な社員が多い→ゆえに就活生にコミュニケーション能力を求める
という構造あり

・メディアからのメッセージ分類
①煽り(ベンチャー企業へGO!)②鎮静(都合の良い情報のみで安心させる。ex)まだまだ日本は大丈夫etc)③持ち上げる(様々な意図?)④癒す(現在のビジネスに対する懐疑。経済成長のみを目指すのとは異なる価値観。)

①が作用→活き造り系(=ナルシスト)の鮮度を保つ
②が作用→煮込み系(=ウジウジ)を煮込みすぎない
③が作用→揚げ物系(=今まさにホット!)を焦げ付かせない
④を受発信→漬物系(=NPOとかしちゃう人)のタイミングをつかむ

・企業の遠心力&求心力
本来なら、自社の意志で考えるものだが、日本企業の多くが環境(景気)に振り回されている

・大家族的仕事場がいいんじゃない?
①若手を宝物として面倒をみる
②タテヨコ”ナナメ”関係の機能が働く→精神的に参ることが少ない

・世代の溝の原因…直接的対話のレベルが浅い
大人の世代に求められる…粘り強く言葉を紡いでいくこと。これはそもそも簡単なことじゃない。
・世代によって、何を経験してきたかをつかむ…鳥の目
個々人の心情をくみ取る…虫の目
そのどちらも必要
・世代の違いを強調するよりも「共通する何か」を発見する
→異なる価値観の者が一体となって何かに取り組む
→大きなエネルギーが生まれる

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年3月2日
読了日 : 2012年3月2日
本棚登録日 : 2012年3月2日

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