雨でも晴れでも (2) (電撃コミックスNEXT)

著者 :
  • KADOKAWA (2021年3月26日発売)
4.50
  • (4)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 78
感想 : 1
4

本作の登場人物たちって割とピュアな恋愛をしているように思うのだけど、その一方で相手に向ける感情がこんがらがっているし、その想いを簡単には言葉にしないものだから余計に関係がこじれてしまう
そういった感情の揺らめきが本作の良さを非常に高めているね


互いに向ける感情の根幹の部分が決定的に擦れ違っている美古都と蓮。でもそれが破局に繋がらないのは美古都が蓮にとても懐いているというのが挙げられるし、蓮は蓮で美古都の感情に近づきたいと願い続けているからなんだよね
感情の根幹が擦れ違っていても他の部分をとても大切にし、それが通じ合っているから2人は2人で居られる
ただ、それでも危うさは消えないのだけど

蓮を友達と思えているのかそれとももっと深い相手と感じているのかと迷う美古都
皆よりも美古都だけを望んでしまうがそれでも美古都の為に友達になる道を選ぼうとする蓮
そういった差が当人たちにとって意外な形で現れてしまったのがあのベッドシーンか。望んでも隠そうとして、それでも押し付けそうになって……
このまますれ違いが終わらないままになってしまいそうな危うさを見せただけに最終的にきちんと和解できたのは良かったね

それにしたって「どうしてキスしたの?」と直球質問した蓮は心臓が強すぎる気もするけども(笑) そしてその後の「美古都さんも下着になってくれる?」が宇宙崩壊レベルの爆弾発言過ぎたけども(笑)
その意味不明にも程がある流れから容赦ない全力の百合シーンが展開されるのは流石といった所
悔しい思いを無くすために改めて美古都にキスをした蓮。だとしたら互いに触れ合って、確かめるように深いキスをした2人は公平に何を得たのだろうかと次巻が気になってしまいますよ


そんな中で描かれた愛莉と律の始まりと現状
旧作では2人の始まりについては描かれていたけど、それを受けて今はどう思っているの?って部分はそこまで深堀りされていなかったからこうして改めて愛莉と律の話が描かれた点は良かったな

美古都と蓮を思わせるような突然のキスによってすれ違いが生じた愛莉と律
ただ、過去回想で明かされたように2人は再会した瞬間からずっとすれ違いが続いていたんだよね。けれど、そんなすれ違いがあることを認めないようにして、見ないようにして同じ趣味を持つ同士として一緒に居た
でも、すれ違いがあるならいずれは亀裂が入ってしまうわけで

散々迷って混乱して、そしてどうすればいいかわからなくなっていた愛莉だけど、その一方で律は「どうすれば良いか」の部分については全く迷いがなかったようで
想いが通じ合ってお互いを信じ切った表情でベッドに入る愛莉と律の様子はとても良かったなぁ……
それだけに翌朝には普段どおりに戻ってしまう二人の様子は本当にらしさに溢れているね(笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ
感想投稿日 : 2021年4月2日
読了日 : 2021年4月1日
本棚登録日 : 2021年3月25日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする