13巻から続いて描かれた琴子と六花の過去エピソードは苛烈な印象こそ少ないものの、目に見えない部分で二人の戦いが行われており、それが後々の対立構造に繋がっていったのだろうと思わせるには充分なエピソードだった
この話があるからこそ、この14巻終盤から始まる新たなエピソードにてどのような波乱が巻き起こるのかと続きが気になってしまう
「見たのは何か」
殺人行為を見せる目的が謎なら、目撃を通報しなかった行為も謎な事件の顛末
仮説に仮説をぶつけ合わせ思索を深め真実を覆す虚構を編み上げるのは本作のお得意とする所だけど、この話においては事件解決の場面において虚構は機能していない。犯人のまともではない動機にただただ圧倒されるばかり
なら、虚構はどの場面にて使われたかと言えば、作中で言及されているように六花を測る為だったんだろうなぁ。自分の行動、推理、犯人の動機。それらを前にして六花がどう動くかを測っていた
面白いのは一方で六花も琴子を測っていたのでは無いかという疑惑
果たして目の前にいる人物は敵になった時、自分の邪魔をどのようにするのだろうかと見えない鍔迫り合いをしているかのようだった
「的を得ないで的を射よう」
大岡裁きを前フリとして利用しながらもなんてオチの酷い話なんだ(笑)
相手の良心を試しているのかと思いきや、試していたのはどれだけ高ストレス状態に耐えられるのかという一点か。
そして狙いが叶っても狙いが敵わず終わる琴子の末路が面白可笑しい
「岩永琴子の逆襲と敗北」
これはまた珍しいタイトルになっているね。敗北よりも逆襲が先に来るんだ
キリンの亡霊というなかなか聞かないフレーズ、そこに事件の中心人物として関わってくる六花
これは琴子をどのように嵌め、そして敗北に至らしめる罠となるのだろうかとワクワクしてしまう
- 感想投稿日 : 2020年12月21日
- 読了日 : 2020年12月20日
- 本棚登録日 : 2020年12月16日
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