それでも君を幸せにしたい 1 (1) (少年チャンピオン・コミックス)

  • 秋田書店 (2021年11月8日発売)
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感想 : 2
4

幼馴染と9年ぶりの再会、その間に二人を繋いでいたのはSNSでの遣り取りのみで声も聞かず。その状態で相手への恋心を維持していたのは凄いけれど、完璧ではない遣り取りだからどうしたって相手への認識も欠けてしまう
それは仕方ないことだけれど、耕弥はとんでもなく大事な事を知らずに交流を続けていたのか……

いや、それにしたってずっと好きだった相手が二重人格だなんて誰が想像できようか。でも、ここで本作が明るい空気を維持したままでいられるのは、愛姫が珠姫という別人格を生み出すに至った経緯がとても幸せに満ちたのものであり、人格交代のスイッチも幸せを理由にしているからだろうね

本作の特徴的な点は珠姫は愛姫大好き人間だから耕弥の事は別にそんなでもないという点かな。耕弥が愛姫と付き合う事は嬉しいと感じているが、自分が耕弥と付き合う事象には微塵も興味がない。
なら珠姫は大人しく二人の交際を見守るかと思いきや、愛姫が一番幸せな気分になったタイミングで人格交代のスイッチが押されてしまうという理不尽

こういう状況だと耕弥と珠姫も好き合うしか無いんじゃないかと思えるけれど、そこは一線を引くのか
珠姫は愛姫の幸せを見たいから干渉したくない。耕弥は珠姫と付き合ったら浮気だと感じてしまう。だから耕弥も珠姫も友人として接するわけだね。
二重人格という問題は有る。けれど、耕弥も珠姫も境界を守る事で気持ちの良い交際が始められるわけだ

ただ、それでも愛姫が幸せな気分になると人格が変わるというのはやはり交際を続けていく上では不便としか言えないのでは……。一緒に登校しようとなったのに、会う前から人格交代しているのは色々とシャレにならない気がするよ!?


耕弥・愛姫・珠姫、三人の遣り取りはかなりコミカルで賑やかなものになっているね。また、三人を取り巻く家族や学友も個性豊かで賑やかというか静かな時間がほぼ見つからないくらい。特に殆どの人間が愛姫と珠姫の二重人格を受け入れているのはまさしく優しい世界と言った処。ただ、愛姫と付き合うことを「面倒臭くない?」と言えてしまった松浦は少々浮いている気がしないでもないが
本人としては思った事をそのまま口にした形。けれど、耕弥にとって望ましくない言葉だから言い返す。そして愛姫は人格交代……(笑)

まあ、言い返した後は松浦と一緒に飯を食うあたり、耕弥って懐の広い人間だよなぁ。だからこそ、愛姫のような少女とも付き合えて、珠姫とも友人を続けられるのだろうけど
好きを通り越して「君を幸せにしたい」と言い切れた彼は本当に格好いいし、それに「幸せにしてください」と返した愛姫は本当に可愛らしい

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ
感想投稿日 : 2022年3月7日
読了日 : 2022年3月6日
本棚登録日 : 2022年3月5日

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