セイラン亡失の影響がこれでもかと横たわる第4巻
これまでもこの学園では戦場で散った生徒なんて幾らでも居た。けれど数多くの時間を触れ合ったセイランであり且つセイランと親しかったアリだけが残った事で、よりセイランの不在を感じられるようになっているね
そして、その感覚がこれまで人の命や痛みに鈍感な部分の有ったミミに影響しているようで
これでアリがセイランの死を受けてすぐに泣き叫んでいれば、ミミの反応は異なるものになったのかもしれないけど、アリはセイランとの約束の為に泣くのを我慢してしまった。だからミミは自分の中に生まれ落ちた感覚の答え合わせをするかのように純粋な疑問を投げかけてしまうんだよね……
「どうして笑ってるの?」とか「悲しいって思っちゃいけないの?」とか、なんて残酷な質問だろう……
その邪気の無い質問がアリの抑えていた悲しみをきちんと悲しみとして表に出させたのだから良かったと言えるのか……
でも、セイランの死が悲しい出来事であると明確にされたら、純粋なミミがそれに無邪気に対応しようとするのは当然なんだよね
けれど、アリはミミの誘いを断ってしまった。これはセイランの命を尊重するアリなら納得の発言なんだけど、一方でミミの在り方を否定するものになってしまうのは残酷…
セイランの死、そして自身の在り方に揺れるミミの様子はこれまでに無いものだね
そんなミミの為に自分に出来ることを深めようとしたシーナの行動が別の方面からミミの過去に迫る事になりそうな展開は意外かな
当初の怪物かのような正体の見えない存在だった頃から、大きく変貌が見られるミミ
彼女の傍に居続けようとすることはシーナにどれ程の試練を課すことになるのだろうね?
- 感想投稿日 : 2021年7月4日
- 読了日 : 2021年7月3日
- 本棚登録日 : 2021年7月3日
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