きみが死ぬまで恋をしたい(1) (百合姫コミックス)

著者 :
  • 一迅社 (2019年1月18日発売)
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本棚登録 : 518
感想 : 9
3

戦争に駆り出される少女達が住まう学校が舞台の作品。と言っても第1巻の段階では実戦に投入される場面はなく、どちらかというと自分たちの命がふとした拍子に消費されてしまう現実に納得行かないけれど、逃れようがない現実を生きる少女達の心情がメインとなって描かれている印象

学校の仕組みに納得が行かず、かといって同室の少女の喪失に憤ることもできず
そんなシーナの前に現れたミミは明らかに異端と言える存在。血まみれなのに天真爛漫、誰よりも強いのに無知

シーナとミミは交流を深めていくけど、百合要素は薄めなのかなと思っていたましたよ。あのシーンを見るまでは!
相手の傷を癒やす最良の方法がキスって!あの光景が描かれた瞬間から作品世界が良い意味で違う色を持ったような気がするよ!
特に無邪気にミミがその方法を早速実践する流れとか、完全にシーナの日常が変わり始めている様子が感じられて良かった

そうしてミミはシーナの日常を侵略するかの如く現れてシーナの隣に馴染んでしまうのだけど、やはりミミは良い意味でも悪い意味でも侵略者なのだろうなと思ってしまう
模擬戦において流れるように撃破するミミ
模擬戦ですら怖くて戦えないシーナ
同じ光景を見ることが叶わない二人が交錯する瞬間がシーナにとって凶刃となってしまうのは二人が同じ場所で共存することが難しいと端的に表しているかのよう

そうして二人は気付かないまま相容れない関係になってしまうかと思いきや、「痛いのは嫌」というとても普遍的な共通点を見つけて普通の友達のように会話に興じるシーンは微笑ましい

でも、やっと見つけた共通点なのにそれは大いにズレていたというのは悲劇的
シーナが嫌がるのは誰かが傷ついたり、そもそも誰かが怪我する場所に居るのも嫌というもの
対してミミが嫌がっているのは……

強さだけでなく、精神面すらも怪物級の強さを持つミミ。まだミミの一端しか知らないシーナがミミと関わっていく中で彼女のことをどれだけ知っていくのか、そして彼女の全貌を知ったときにどう思うのか。そして何よりもこの作品タイトルは何を指しているのか……

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ
感想投稿日 : 2020年9月6日
読了日 : 2020年9月5日
本棚登録日 : 2020年8月16日

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