早期教育と脳 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社 (2004年8月18日発売)
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感想 : 16

わけあって幼児教育の勉強のため本書を手に取った。「脳を育む」研究の一環として書かれている。かなり怪しげな脳科学本が多い中、本書は信頼できる内容だと思う。(ただし、アマラとカマラの話が何の疑いもなく紹介されている点はいただけない。)3歳児神話とか、臨界期とか、何歳までに教えないと無理とか、そういうことはだいたいラットなどの動物実験から得られた結果をもとにしていたりで、そのまま人間に当てはめていいかどうか疑わしい。それから英語の早期教育、バイリンガルに育てるという話は、前から気にはなっていたが、やはり人格形成に問題を残す可能性があり、お勧めはできないようだ。ただ、私が国際高校で学んだ経験を振り返るとき、英語と日本語がチャンポンの高校生をたくさん見たけれど、そう心に問題を抱えているとは思えなかった。そのあたりはどこまで研究が進んでいるのか。10年前の本なので、最新研究がどうなっているかも知りたいところだ。障害児教育については考えさせられる。「その歩き方では股関節をいためる」と言われた障害を抱えた医師は、「こういう歩き方しかできないからこう歩いている」と答える。押しつけるのではなく、あるがままを受け入れるということの大切さも知った。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 教育
感想投稿日 : 2015年1月28日
本棚登録日 : 2015年1月28日

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