NHK「100分de名著」ブックス 孔子 論語 NHK「100分de名著」ブックス

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  • NHK出版 (2012年2月23日発売)
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感想 : 6
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- 論語に対するとっつきにくさ、ハードルを下げて導こうとしてくれる良書。
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- 「義 を見て 為 ざるは、 勇 なきなり」(為政 第二─二十四) (正しいと分かっていながらやらないのは臆病者だよ。正しいことが分かっているんだったら、あくまでもやるべきだぞ)
- 「力足らざる者は 中道 にして 廃す。今 女 は 画 れり」( 雍也 第六─十二) (力が足りないのなら、やるだけやって途中で倒れればよい。やりもしない前から「できません」と言うのは、自分で自分を見限っている証拠じゃないかね)
- 孔子の教えは、道徳的ではありますが、世捨て人の学問ではないからです。儒教的解釈のために『論語』というと消極的・禁欲的な〝 修身の教科書〟を連想してしまいがちですが、もともと孔子が言っていることはそういうものではありません。 むしろ、孔子の教えは積極的に社会参加していくためのものであり、それゆえに現世的であり、ある意味では俗っぽいほどなのです。
- 金儲けも出世も有名になることも、それ自体が悪いことでも否定されるべきことでもない。ただし、「目的」と「手段」、「結果」と「過程」を混同するなと口をすっぱくして教えているのです。
- まず自分が充実していれば、周囲との関係もよくなり、ひいては人間社会全体もよくなる。要するに、何をおいても、まずは「自分をきちんとする」のが最優先ということです。
- 教育によって、物事を自分で正しく判断できる人間を作っていくことが、孔子の目的だったことが分かるでしょう。そこでワタシが思い出すのは、 福沢諭吉の『学問のすゝめ』です。
- 「故 きを 温めて新しきを知る、 以 て師と 為るべし」(為政第二─十一) (古典や古い学説を学び、そこに現代的な解釈をつけ加えてみるといいよ。そうすれば行動の指針になるからね)  じつは、ここに、孔子の教育論のエッセンスが集約されています。彼は、先人への共感と追体験の中に、学問の大きなポイントがあると考えたのです。 〝真の創造性〟とは、無から有を生み出すことかもしれませんが、凡人にはそれはチト無理な話です。一から十まで自分で考えろと言われてもできない。でも、過去に誰かが言っていることをもとにして自分なりにアレンジする、というのだったら、できそうじゃないですか。  物事を考察する時は、まず、すでに評価が定まっているなんらかの価値にひっかけて考えてみる。これが「温故」。そして、その上に新たに自分流の解釈をつけ加えてみる。これが「知新」。それが、孔子流のやり方なんです。
- 彼がめざしていたのは、みんなが信頼しあえる温かい社会、人と人がだましあったり裏切ったりすることのない社会です。
- 「汎 く衆を愛して仁に親しみ、行ないて余力あれば、則ち以て文を学ぶ」(学而第一─六) (まずは心を豊かにし、まわりの人たちを愛せるようになることだ。学問はその後からで十分だよ)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 実用○
感想投稿日 : 2022年2月4日
読了日 : 2022年2月3日
本棚登録日 : 2022年1月10日

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