猿の惑星:創世記(ジェネシス) 2枚組ブルーレイ&DVD&デジタルコピー(ブルーレイケース)〔初回生産限定〕 [Blu-ray]
- 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
手堅く作られた『猿の惑星』の前日譚。
【物足りない点】
本家『猿の惑星』(映画と原作小説の両方)の面白さの肝は、「異種間の交流」であり、その異種間で意思の疎通がうまくいったりいかなかったりするところが見所だと個人的には思う。
この映画でいえば、猿であるシーザーと、主人公の人間のウィルとの意思の通わせ方が見せ場だと思うのだが、これらの描かれ方が非常に少ないのが物足りない。
前半であれば、知恵をつけたシーザーがウィルに何か(隣人とのトラブルに繋がる目撃談など)を伝えようとするが、まさかシーザーにそこまで知恵がついているとは思わないウィルにはうまく伝わらないとか。
中盤であれば、母の死にウィルが関わっていることを知ったシーザーが復讐心とウィルへの愛情の間で苦しむが、ウィルにはその苦しみが伝わらないとか。
シーザーに「母親を死に至らせてしまった罪」を謝罪したり、事情を説明したりするウィルだが、シーザーにはうまく伝わらないといった流れでもいい。
そしてラストで2人が和解したり、真に分かり合えたりしたならば、とても感動できたと思うのだが。
手塚治虫であればきっとそのようなシーンを描いたと思うのだ。
そういった描写がないため、ストーリーとしては非常に薄っぺらいものになってしまっている。
主人公のウィルがあまり死にそうにならない点も物足りない。人間としてはどうしても人間の主人公であるウィルに感情移入するので、その主人公に危険が及ばない場面ではあまりハラハラできないのだ。シーザーの息があまりかかっていない猿たちにウィルやヒロインが襲われる場面はいくつかあってもよかったのではないだろうか。
猿の知能がせっかくアップしたのに、終盤はほぼ暴徒化しているだけで、知的さを生かした攻め方が少なかったのが残念。頭の良さをもっと出したシーンを入れたほうが恐怖感は増したのではないだろうか。
【いい点】
シーザーをはじめとして、類人猿たちがとてもいきいきと飛び回るCGは圧巻で、一見の価値あり。
ただし、シーザーが殺戮を禁じていることもあり、一番刺激的なのは、前半のシーザーがパーサーの指を食いちぎるシーンだったというのはある意味残念。それを上回るショッキングなシーンがクライマックスにほしかった。
※スターチャンネルにてノーカット視聴。
- 感想投稿日 : 2018年10月23日
- 読了日 : 2013年5月31日
- 本棚登録日 : 2018年10月23日
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