著者はドイツ文学、メディア論が専門の学者。テレビ、パンチカード、ラジオなどをナチスの戦略に関連させながら、ソフトとハードは分けられない一つのもの、と定義する。戦中の日本へも話が飛ぶため、いまひとつ焦点が分散。いっそドイツに限ったら、もっとつっこんだ読み物になったのでは。
最終章にわずか著者のスタンスが滲むが、全体的には事実をメディア論の立場から軽く語るのみ。あっさりと読む。
アウシュヴィッツでパンチカードがユダヤ人の管理に使われたとは、初めて知った。ところが最後の註で小さく「刺青に代替。死者の数が多く、パンチカード用の数がパンクした」と語られる。もし本書がナチスの弾劾ならば(さほど強い語調では語られないが)、この点により着目したら、意図が強調されたと思う。
読書状況:読み終わった
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ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2007年1月2日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2007年1月2日
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