全体を通してほの暗い人形の家を覗いているような雰囲気だが、ところどころに生々しさがちらつく。綺麗なモチーフに託された暗喩が逆に、清廉さの陰にわだかまる俗物的な部分をより際立たせていたように感じた。
他の方も多く言われているように、画面の美しさがひたすらに素敵です。少女たちの足の、なんとまっすぐで細いこと…!大槍葦人氏の絵が好きな人にはヴィジュアル的にものすごくオススメできそう。
薄暗い森にぼんやりと灯る街灯、その下を歩いていく真っ白な制服の後ろ姿が、焼きついたように頭に残る。
外界から隔絶された緑深い寄宿舎という舞台もどことなく辺獄や冥府を連想させる寂しげな魅力に満ちていて、強く惹かれるものがあった。
原題(Innocence/清純、無垢)の方がテーマ性が分かりやすいもののその分皮肉っぽくも感じられて、物語の根幹から絶妙な距離感を保った「École/学校」という邦題はナイスチョイスだと思いました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2014年7月19日
- 読了日 : 2014年7月
- 本棚登録日 : 2014年7月19日
みんなの感想をみる