NHKのモスクワ特派員として1975年から95年の間に11年間、現地取材に邁進した著者の回顧録。
世界初の社会主義国家として共産党独裁が統制していたソ連モスクワへ赴任し、ソ連がロシアへと変革してゆくすがたを渾身的にリポートされた実績は堅実なジャーナリズムの精神に裏打ちされていたのだと感服した。
ゴルバチョフが政治体制の再編を図った政策ペレストロイカと、その一環である情報の公開を推進するグラースナスチ(公開性)により社会秩序は一変したがクーデターにより求心力を損ない失脚、ソ連崩壊を導いた一連の流れ、そしてエリツィンの強固的な権勢が采を振るロシアはどこへ向かおうとしているのか。未来を不安視せずにはいられなかった執筆当時の世論が聞こえてくるようで、躍動するクレムリンと社会の機微をリアリティをもって知ることができる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
政治
- 感想投稿日 : 2019年12月23日
- 読了日 : 2019年12月21日
- 本棚登録日 : 2019年12月21日
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