中国文学に興味を持ち始めたばかりのわたし。myjstyleさんがおすすめしてくださった本のなかに、井波律子先生のものがありました。それがとても面白くて読みやすく、今も「中国の五大小説 上・下」をちょっとずつ読んでいるところです。もっと井波律子先生の書かれた本や、おすすめされる本を読みたいなと思ってたところ、myjstyleさんがレビューを書いておられたこの本を思いだし手に取りました。
この書評集には、井波先生が1987年から2018年までのおよそ30年間に書かれた、〈書物にかかわる文章〉のほぼすべてが収められている。ざっと数えたところ200冊以上の本について書かれているので、大変分厚い。
ほとんどは書物についての書評だが、そのほか、解説や書物に関連したエッセイなども収められいる。「本を読むことは、どれだけ愉しいことか」という気持ちが伝わってくる井波先生のエッセイ、どの本に対しても好奇心を持ち、愉しそうにいきいきと書かれた書評、どれをとっても大変ワクワクするものだった。
もちろん、中国に関連した書物の書評が多いのだけれど、それだけに留まらず、歴史、ミステリ、文化、小説、随筆……あらゆるジャンルが、日本や欧米などの書物からも紹介されている。
それにしても、わたしにとって困ったことになったのは、今まで知らなかった世界観に触れるものばかりで、目移りして仕方がないことだ!
どれから読もうか悩んだのだけど、中国文学のなかでも「中国奇想小説集」から入ったわたしにとっては、やはり奇想天外な物語が気になる。「天怪地奇の中国」「桃源郷の機械学」「宇宙を呑む」「山海経」「聊斎志異」から、まずは読んでみようか。
あと、古い日本の絵巻に描かれたさまざな鬼の像を素材としながら、鬼とは何かを追及した「鬼の宇宙誌」も気になるし。
また井波先生はミステリがお好きらしく、ケイト・モートン「忘れられた花園」や「湖畔荘」をはじめとして、何冊ものミステリを紹介されている。江戸川乱歩「幽霊塔」は宮崎駿口絵の岩波書店のものを紹介しておられ、かなり興味をそそられた。タニーラ・コマストリ=モンタナーリ「剣闘士に薔薇を」、キャロライン・グレアム「空白の一章」は全く知らなかった作品なので、ぜひとも読んでみたい。
これだけピックアップしてもまだまだ面白そうな本が書評集のなかで待っている。
やばい、やばい。やばい書評集に手を出してしまった。
- 感想投稿日 : 2020年10月6日
- 読了日 : 2020年10月6日
- 本棚登録日 : 2020年10月6日
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