修論のテーマがモダリティ(「~かもしれない」「~であるはずだ」「~してもよい」「~しなくてはならない」みたいな主観的判断)にちょこっと関係していたので可能世界意味論に興味をもって本書を手に取ったのが……7年前?
前半部分だけ読んで読みさしになっていたのをはじめから通読してみた。
可能世界論は、「無数に存在する世界」を量化することにより、モダリティのような主観的判断を形式論理学の俎上に載せることに成功した。
が、「可能世界」とはどのような世界か?
「我々が想像<しうる>あらゆる世界」?
常識的に可能世界を定義しようとすると、定義の中に可能性のモダリティ表現が出てくる。
可能世界はモダリティを記述するためのものなのに、可能世界を記述するためにモダリティが用いられる……。
この循環を抜け出すための方策は、可能世界を「実在する無限個のパラレルワールド(的な空間)」と定義し直すことだ(と、ルイスさんという哲学者が唱えた)。
論理をきちんと整理しようとすれば、パラレルワールド(的な空間)は実在すると認めざるを得なくなる……論理が世界を定義するという異様な事態……
哲学者たちの濃厚かつ真剣な議論を、ほんのちょっとだけでも覗き見ることができて知的な興奮を楽しめた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年5月27日
- 読了日 : 2014年5月27日
- 本棚登録日 : 2012年5月20日
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